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「ふっ、ふっ、ふっ、おれも出すぞ、いいか、出すぞ、うーっ!」
もちろん中に出してやった。外に出した方が楽かと思うんだが、将志は中に出してくれといつもせがむ。使われてる感じがいいのだと言う。
抜いてティッシュで拭いて、タバコに火をつけた。その間に、将志は便所に入っていく。息んでいるのが聞こえた。おれのを出しているのだ。それが終わるとどうするか、もうわかっている。のんびり朝風呂につかるのだあいつは。
おれはタバコを消すと布団をあげて、流しでちんぽと顔を洗った。さっさと服を着て、簡単な朝飯の支度をする。できあがった頃に将志が風呂から出てくる。湯気をもうもうとたてて、毛深くて男らしい体をタオルでゴシゴシやっている。
「飯できたぞ」
「うん」
いちおう、片付けだけは将志の仕事になっているし、おれが仕事に行く時は必ず玄関まで見送ってくれる。
「いってらっしゃい」
将志はだいたいいつも上機嫌だ。
この団地に将志と一緒に住んで、もう八年たつ。その間、ほとんど変わらない生活が続いている。つまり、おれが働いて、将志は遊んでる。六十過ぎたおれがせっせと警備員やコンビニのパートをして生活費を稼ぎ、若い将志がその金を使う。
付き合いだした時は会社勤めをしていた将志だった。しかしちょくちょくうちに遊びにくるようになった頃、暗い顔で言ったのだ。
「仕事やめちゃったんだ、アパートも追い出されそうでさ」
それがすごくさびしそうな、頼りなげな顔だったのだ。おれはその頃将志にぞっこんだった。なにしろ二十も年下で、そのうえ男前でケツが感じるのだから、理想の相手だ。だからむしろ、渡りに船と思って言ったのだ。
「だったらうちにこい。どうせここはローンで買ってるんだ、一人で住んでも二人で住んでも一緒だ」
最初の内は将志も仕事を探していた。というか、たぶん今思うと、探すフリをしていたんだろう。だがそれもすぐにやめてしまった。そして今では、働かないでいるのが当然のような顔で、毎日のんびり過ごしている。
思えばおれは、若い頃からこういう男とばかり付き合ってきた。見た目はいいが、役立たずの男ども。セックスは最高でも、頭が悪くて友だちに紹介しても会話がまったく成り立たない奴だとか、渡した小遣いをすべて博打に使ってしまう男だとか、半年も同棲して養っていたのに、最後はなけなしの貯金を持ち逃げした男だとか……。
まあ、そういうのに比べたら、将志はずっといい方なのだ。働かないが、無駄遣いもほとんどしない。バカでもないから話もできる。なにより八年も続いているのだから、それなりにおれのことだって好きでいてくれてるみたいだしで。
ただ、得体が知れないという印象は付き合いだした当初からあって、八年たった今も変わらない。普通、働かない男というのは、酒飲みであるとか、パチンコや競馬にハマッているものだ。なのに将志は博打に興味がないし、酒も飲まない。おれが働きに出ている間、何をしているのかまったくわからない。
「だいたいはテレビ見てるんだ」
と言ってはいるが、昼間、部屋の電話にかけて出たためしがなかった。後でそのことを聞くと、シゲちゃんの親戚だったら困るだろ、と言ってごまかすのがいつもの手。
もっとも、そういうことを気にするおれでもなかった。基本的に、昼間は勝手にしろとしか思っていないのだ。どうせ働かないのなら、寝てるなり、テレビ見るなりすればいい。いくら言っても部屋の掃除も洗濯もしない奴なのだ。こまかいこと言ってもどうせ聞きゃあしないだろう。
こちらはいまだ掲載予定のたっていない作品です。
タイトルは『団地住まい』の予定。
六十を過ぎたおじさんと四十の男が狭い団地で暮らしている、という話。
ちょっとユーモアのある雰囲気。
一昨年の十月には編集様に送りつけてあるので、もう掲載されないのかも……。
それか、忘れられているのかな……。
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