小玉オサムblog

感じやすい中年たち (2014/08/27) 小玉オサム 商品詳細を見る

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『感じやすい中年たち』

　　　♦　♦　♦

　また一人、となりの壁に中年男がやってきた。
　お、これはなかなか……。
　一目見て、そんなオジンくさいこと思ってしまった。年令は四十代半ばくらい。がっちり太め体型で、僕より五、六センチ背が高い。スラックスにポロシャツという格好がまたおじさんぽくてよく似合っている。顔は渋目で男臭い。全身から「やらしい中年男オーラ」を発している。その人が僕の耳元で言った。
「よかったら、あっちでちょっと話さないか？」
　当然、僕はうなずいて、おじさんの後ろについていった。壁の花してる他の男たちの視線が痛かった。通路の奥、ハッテンスペースになっている女子トイレの前で、僕たちは相手の顔や体型をまじまじと見つめあった。おじさんが言った。
「君はぼくのタイプだよ。ぼくはね、よっぽどタイプのコじゃないと、声かけないんだ」
　こういうこと言われた時、なんて答えればいいのかよくわからない。ま、いい気分ではある。
「君、いくつ？」
「あ、こないだ二十歳になりました」
「大学生？」
「はい」
「どう？　ぼくみたいなので、いいかな？」
　そう言って、おじさんは女子トイレの中を指差した。額を少し光らせた中年男が、スケベなニヤケ顔で僕の目を覗き込む。僕は勃起した。おじさんはジーンズの上からそれを見て取ったのか、僕の手をとってトイレに入り、個室のひとつに僕を押し込めた。一瞬見つめあってから、僕たちは抱き合ってキスをした。

　　　♦　♦　♦　

　ちょっと生意気な二十歳の学生と四十代半ばの社長さんが出会い、付き合うようになる。社長さんは妻子持ち。見た目は渋くがっちり太めの体型。主人公にとって理想のおじさんと思えたが……。
　平成初期が舞台のお話。
　ハッテン映画館での出会いを描いています。いまは廃れつつありますが、当時、その手の映画館は日本のゲイにとってスタンダードな出会いの場のひとつでした。当時の雰囲気もあわせてお楽しみください。
　初出『バディ』。だった気がしますが定かではありません。読み切り短編。




もしかしたらもしかすると、これ、
『さぶ』だったかもしれない……。

記憶がないのです。
すいません。

しかしパソコンの中でテラ出版のフォルダーに入っていたので、
おそらく『バディ』かと思うのですが。

ちなみに上野の映画館といっても
ホモ専門の方です。
500円の方ではありません。

みんななくなっちゃったらしいですが……。





また父が入院しました。
深刻な状態ではありません。

去年に切断した足の先端部分に傷ができて、
ちっこいんですけど潰瘍状の穴があいちゃって。

体の他の場所ならたいして問題にならない程度の傷なんですけど、
切断した骨の先端が近いので、
放っておくと骨髄炎になる可能性が高いらしい。
さらに足を短く切り落とすことにもなりかねないから
入院して点滴で抗生剤を入れることに。

というわけで父には悪いんですが、
久々に生活がかなり自由になってます。
目覚ましをかけずに寝られるってやはりすばらしい。

でも、若い頃に比べると
睡眠時間が多少短くてもそんなにつらくないかも？
僕は高校を二年生いっぱいで退学して、
みんなが三年生をやっている年に大検を受けて、
大学に進んだんですが、
高校をやめた一番大きな理由がこれでした。
登校するために朝早く起きるのがつらくて……。

いま思うと、とんでもない理由。
でも当時はほんとイヤだったんですよね、早起き。

学校生活そのものは、そんなにイヤなこともなく、
いじめられていたわけでもなく、
普通にクラスの人たちと話したりもしてたし……。

ただ、あまりにも刺激のない学校で退屈していたのかな。

中学校までは地元の公立に行ってたんですが、
当時は全国的に学校が荒れている時期で、
校舎のガラスが割られたり、
短ランとか着た不良グループが喧嘩してたり、
教師に殴られたり、
まー、次から次へといろいろあっておもしろかった。

それと比べて僕の入った県立高校は
みんながみんな大人しい。
ちょっと不良っぽいのもいたけど、
中学校の時にいた人たちに比べたら
ただのいじめっ子みたいなレベル。
二年間ずっと平和。

やはり偏差値で分けられた人間が集まると
平均化が進むんでしょうか……。

でも、大学だって偏差値で決まるのにね。
なにがちがうんでしょう？
不思議。