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『まんぞく』配信開始。それと犬の捻挫について



まんぞく (せつない話)まんぞく (せつない話)
(2014/06/04)
小玉オサム

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アマゾンKindleストアにて配信開始しております。



『まんぞく』


     ♦ ♦ ♦

 翌日はバイトの日だった。僕の本業は翻訳なんだけれど、それだけじゃとても食べられない。始めて十年たつのに仕事が少ないのだ。だから週に三日は雑貨屋でバイトをしたり、良人のカフェの手伝いをしている。
 だけど両方、好きなのだ。カフェでお客さんの相手をするのも、雑貨屋で働くのも楽しい。もちろん翻訳だって好きだ。
 主婦だったらこのままでもいいんだけどな、とよく考える。翻訳もバイトも適当にやって、あとは家のことをする。だけど僕は男なのだ。雄大と結婚できるわけじゃない。
 バリ製の大きな家具のことで迷っているお客さんの相手をしている時だった。携帯がお尻でぶるぶると震え出した。結局お買い上げとなり、送り先を書いてもらっている間に携帯を見ると、雄大からだった。
「なに?」
『手のかかる実験にかかりきりになりそうなんだ。何日か帰れないと思う』
「……じゃあ、アパートに帰ってようかな」
『なんだよ、うちにいろよ』
「ついでに実家にも顔出しておきたいし」
 雄大はたまに大学の研究室にこもりきりになる。いったいなんの研究をしてるのかよくわからない。何度か説明してもらったがちんぷんかんぷんなのだ。バイトが終わると、僕は自分で借りているアパートに行った。二週間あけていたから、なんだかホコリっぽかった。だからすぐに掃除を始めた。これはいつもの習慣だ。もし雄大と別れることになってここに戻った時、汚れていたら惨めになるだろうから、必ずきれいにしているのだ。
 この一年はほとんど雄大の部屋に住んでいる状態だった。だけどアパートを引き払う気にはなれなかった。いざという時に困るし、そもそも同棲が好きじゃなかったのだ。それが、雄大の部屋に遊びに行く度にいろいろ世話を焼いてしまっていたら、言われたのだ。
「ここに越してこいよ。その方がお互い楽だろ?」
 雄大はプライバシーというものを欲しがらない。いつも開けっぴろげの自然体だ。だけど僕は一人の時間が必要なタイプだった。それが結局、もう何ヶ月もアパートに戻ることはなかった。雄大が大学にこもって帰ってこない時も留守番してることが多くなった。
 ローテーブルの上に出しっぱなしになっていた本を本棚に戻した。すると、ずっと前に買った情報誌だとかスポーツ誌だとか、映画のパンフレットが目に入った。なつかしくて、僕はそれを手にとって少し眺めた。
 僕は本来、活動的な性格だった。映画を見に行ったり、東京や関西にまでうまい店巡りに出かけたり、ひまさえあれば飛び回っていた。だから前の彼とは本当に気があった。あの人はアクティブで男っぽくて、やさしかった。しっかりした人で、なんでも自分でやった。仕事も真面目なサラリーマンで、バリタチで、スポーツマンで、良人や仲間たちを誘ってフットサルチームを作ったりもした。
 それと比べて、雄大は正反対の性格だ。もちろん付き合いだした頃はいろいろ誘ったのだ。だけど雄大はいつもマイペースだった。
「映画ならテレビでもやってるだろ」
「下手な店に行くより、お前のつくる飯の方がうまい」
「運動なんてかったるい。べつに多少なら太ったっていいじゃねえか。俺はお前が太ったって文句言うつもりねえぞ。お前は俺が太ったらそれだけでふるような奴なのか?」

     ♦ ♦ ♦


 大学で研究を続けている恋人は仕事はできるが家のことはまるでしない。ほとんど亭主関白で気が利かないが潔癖症。
 主人公は翻訳家だが仕事はろくになくて雑貨屋や友人のカフェでバイトしている。
 仕事はできるが家のことはなにもしない男と、家事は得意だが仕事はうまくいかない男。カップルとしての相性はいいが不満が募る……。
 平凡なゲイカップルの日常を淡々と描いた等身大のゲイ小説。

 初出『バディ』。「せつない話」シリーズ五作目。平凡で平和なカップルの話ですが全体に不穏な空気が満ちた話。読み切り短編。
 





犬が捻挫しました。

雄パグの方なんですが、雌ミニピンと一緒になって
庭にやってきた野良猫とか、となりのアパートの通路に人が通ったりすると
ワンワン吠えて大騒ぎして走り回るので、
たぶんそこで挫いたんだと思います。

左の前足が床につけなくなって、
三本足でびっこひいて。(びっこってもしかして差別用語?)

その日は様子を見て、翌日にもやはりよくならないので病院に。

病院で歩かせるとふらふらしてるけど足をついて歩いたので、
骨折の可能性は低い、とのこと。

動物の場合、湿布するわけにもいかず、
痛み止めと抗生物質だか処方されて
安静にさせるしかないらしいです。

最初の二日間は痛いのか、
体が自由に動かなくなったことにおそれおののいたのか、
クンクン鳴いて訴えてましたが、
その後はいつもどおりな雰囲気。

今日はかなりいいみたいで
たぶんこのままよくなっていくことでしょう。

これをきっかけにますます老け込んでいきそうですね……。




話かわりますが、いま、彼氏がKindleで本を買ったと報告。

ただし、僕の本じゃありません。
買うわけないよね。
小説なんか読まない人だし……。

買ったのは日本の押し売り商法を牽引する某公共放送の料理本。
『今日の料×』

こんな年の人(67歳)でも電子書籍を買う世の中になったんだな~
と感慨深く思いました。





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小玉オサム

Author:小玉オサム
ゲイ雑誌各誌に小説を送りつけ続けて、22年。
白髪の目立つ43歳。鼻毛にも白いものを発見! 鼻くその話じゃないよ。

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