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『誘惑』
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「なんてことするんですか」
のれん一枚でしか区切っていない空間なのだ。精一杯声を殺して黒岩さんをにらみつけた。なのに黒岩さんの方はまだニヤニヤと笑い続けている。
「いいだろ、少しくらい」
「僕は友達の彼氏なんですよ。兄貴とは親友なんでしょう?」
「だからなんだよ? ああそうか、いたずらくらいじゃつまんねえよな。今度よそで、二人きりで会うか?」
冗談にも程がある、と思った。だけど、黒岩さんの目には何かどぎついものがあった。僕はちょっと怖くなった。
「冗談はやめてくださいよ。酔ってるんでしょう?」
「たしかに酔ってるぜ。でも、これは本気で言ってるんだ。なあ、丸山のいないとこで会おうぜ。いいだろ? 興味はあるんだろ?」
いきなり近寄ってきて抱きすくめられた。僕はあわてて、大きな体を振り払った。その時だった。兄貴がのれんから顔を出した。
「どうかしたのか?」
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ガテン系のやさしい兄貴と幸せな関係を築いている若い主人公。二人の間では同棲の話まで出てうまくいっている。しかし兄貴の親友がちょっかいを出してきて……。
初出『バディ』。幸福なゲイカップルに忍び寄る誘惑の罠。「ドラマチック小玉劇場」第五作。続き物ではありません。読み切り短編。
『愛するという才能』
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「……おい、本気で言ってるのか?」
渋谷さんの手が、テーブルの上にあった僕の手を揺すぶった。僕は目を開き、当惑をあらわにした彼の顔を見据えた。
「もう、やっていけないと思うんだ」
「どうして? 他に好きな男でもできたのか?」
「そんな暇なかったよ」
「じゃあ、どうしてだ?」
「疲れたんだ」
「そりゃ、疲れてるだろうさ。一年も外国で暮したんだ。友達のことで色々あったんだったよな? それが日本に帰ってきて、疲れがどっと出てきたっていうのはよくわかる。俺も五年間、イギリスに行っていたから、わかるつもりだ」
「そうだね」
「なあ、今だけだぞ。しばらくしたらまた元に戻れる。俺は経験してるからわかるんだ」
「そうかもしれない」
「とにかく、もっと時間をかけて考えたっていいじゃないか、な?」
「意味ない気がするよ」
「そんなことないさ」
「そうかな……」
渋谷さんはすごく困った顔をしていた。焦った顔をしていた。僕と別れるってことが、そんなに難しいことだろうか? 理解できない。簡単なことに、僕には思える。渋谷さんなら、僕のかわりなんかすぐに見つけられるだろう……。
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留学先でつらい経験をした主人公。自分の中の何かが失われてしまったような気がして、一年も待ってくれていた恋人に対してもそっけない態度しかとれない。乱交、覗き、SMプレイなど激しい性生活を送りながらも、自分の現実を生きる気になれず……。
初出『バディ』。「ドラマチック小玉劇場」第六作。最終話。続き物ではありません。読み切り短編。
唐突ですが、新作バッグ。
昨日からホーチミンにきているんですが、
それにあわせて新しく鞄を制作しました。
でも、なんかでかくてちょっとかたいので、
今日の昼から、持ち歩かなくなってしまった……。
文庫本と地図を手に持って、お財布はポケット
というスタイルに。
旅先で使う鞄はやはり軽くてやわらかいのがいいですね……。
行き帰りの飛行機とかでは使うから、
まあ、いいんだけど、
この鞄、はじめは縦長で作り出して、
ある程度形ができたら気に入らなくなり、
半分ばらして切って、作り直したもの。
でも、いくら手をかけても、
使いづらいとダメですね。
ホーチミンのことは明日か明後日にでも
あらためて更新します。
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