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『兄貴のお下がり』
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不意に、ひとの視線を感じて振り向いた。ドアが薄く開いていて、その向うに人が立っている気がした。覗かれた?
「トイレ、借ります」
「おう、はやくしろよ。あんまり待たせると一人でマスかいちまうぞ」
兄貴は笑っていたけれど、オレはすばやく立ち上がってドアを開いた。でも、廊下には誰もいなかった。気のせいだったのか?
とりあえず階段を降りてトイレを借りた。小便をすませ、階段を上がろうとしたところで、丈二さんと出くわした。
「あ、き、公義君、トイレだったんだ」
「はい、お借りしました」
「そ、そう、ごゆっくり……」
話したのはほんの数秒だった。だがその短い間に丈二さんの顔は真っ赤に変わってしまった。いつももじもじしてるんだけど、ここまで顔を赤くして恥ずかしそうにしているのは初めてだった。階段を昇りながら思いついた。やっぱり見られたのかもしれない。それも、あんな弟に?
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元空手部のリーマン兄貴はやさしい絶倫男。アメフト部の大学生主人公はそんな兄貴に惚れ込んでいる。もう一年も続くカップルだが、乱交パーティも主催するスケベな二人。しかし兄貴分の実の弟は兄貴とちがっていつもモジモジ。そんな弟なのに兄貴はすごく大事にしていて……。
初出『バディ』。明るくスケベな読み切り短編。
『高嶺の花』
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隣町のシネコンは平日の夜ってこともあってガラガラだった。俺たちの選んだ映画は他に数人しか客がいなくて、座席も離れていた。俺たちは後ろの方の座席で並んで座り、映画を見た。しばらくすると暗がりの中で彼が手を握ってきた。そうして頭を肩にもたせかけてきた。俺は映画どころじゃなくドキドキしちまったが、最後には慣れてきて、すげえ気分がよかった。
まるで本物の恋人同士だった。
映画を見た後は終夜営業のファミレスに寄ってメシを食った。そうして映画の感想を言い合った。他の映画のチラシを彼がもらってきていて、次はこれ見ようか?とか、恋人っぽい会話をした。町に戻る途中で車を停めてキスしても嫌がらなかった。軽トラの中で俺たちはセックスをした。やった後も彼は何度もキスをせがんできた。まるで本物の恋人同士のように……。
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ハッテン場で何度も見かけていたモテ筋の男。すごくタイプだが金をとる「プロ」で、田舎町に暮らす八百屋の息子である主人公にとっては高嶺の花だった。しかしその「プロ」の彼とそっくりな男が近所の古本屋で働いていることを知って……。
初出『バディ』。単館上映映画っぽい読み切り小説。田舎町を舞台にした、ちょっと夢のあるお話。八百屋と古本屋の恋物語。
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
といっても、とくに年末も正月も感じないまま今日になりました。
というか、まだクリスマスソングが頭の中に鳴っている……。
クリスマスもとくになにもないんだけど。
というわけで、とくに豊富もなく、区切りもなく、
今年もなんとなく生きていく所存です。
どうせまたあっという間に時が過ぎていくでしょうねし……。
夏はすぐそこですよ。
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