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隈吉源三シリーズ第二弾、配信開始いたしました。
日本のAmazonKindleストアで
「小玉オサム」もしくは「隈吉源三」
で検索していただければ出てくるはずです。
迷った末に、前後編に分けました。
どうも、一作品で五百円以上するというのが
割高に見えるかな……、と思いまして。
だったら安くしろ、という話ではありますが、
今度、きちんと宣伝しますけども、
携帯電話用のサイト
『貴腐人の本棚』でも
いずれこちらの作品が配信される予定なのです。
そちらとの兼ね合いもあって、
あんまり安くするわけにもいかないような気がして。
ちなみに、半端な値段の付け方に、あまり意味はありません。
すいません。
以下、さわりとなります。
「どうだい、こういう店にきたの、隈吉は初めてだろ?」
「え、まあ、きれいなバーだな」
実際、洒落ていて落ち着いたバーだった。十人座れる程度のカウンターと、小さなテーブル席が壁沿いに三つ並んでいる。照明が凝っていて、バーテンの背後に並ぶウイスキーのボトルは、青白いネオン灯に照らされている。その他はすべて壁や天井を利用した電球の間接照明で、黄色がかったやわらかい光が、薄暗い雰囲気をこわさない程度に、男達の姿を闇から浮かび上がらせていた。当然カラオケはなく、静かなジャズがしぼった音量で流されていた。客の男達も、いずれも生活程度の高さを想像させる身なりをしていて、髪型や身のこなしにも気を使っていることが一目で見て取れた。ただ、その目つきだけはどうにも紳士らしからぬところがある。
「隈吉が一人でこのバーに来たら、すごくモテるぞ」
「え?」
俺はなんとも返す言葉が見つからず、高山を見た。高山はまた前方に目をやって、煙草を吸っている。俺は試されているような気がして、不安な気持ちになってきた。
「なあ、高山、もう帰ろう」
「なんだよ、まだ来たばかりじゃないか」
「まだ飲みたいなら、他の店に行くなり、お前のマンションに帰ってからでいいだろ?」
「なんだよ隈吉、ここがこわいのか?」
高山は本当に煙たそうな顔をして俺を見た。高山のこんな顔を見たのは初めてだった。胸の中で気持ちが冷えていくのを感じる。
「こわいわけじゃない」
「だけどいやなんだろ? ホモが集まってる店だから」
「そういうわけじゃ」
「そういうことだろ? 自分だってそのお仲間のくせに、男が好きな自分が恥ずかしいんだろ?」
「お、俺は別に男が好きってわけじゃなくて、お前が……」
「そういうこと言われて、おれがいつまでも喜ぶとでも思ってんのかよ?」
俺は心底ムッとして、高山をにらみつけた。すると高山は頬を赤らめ、視線をそらした。
「ごめん、飲みすぎたみたいだな……」
俺たちは黙り込んでビールをすすった。その時、ドアの開く音とともに、冷たい風がサッと吹き込んできた。
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分割されるのは仕方ないとしても、できるだけ、同日配信希望です。
第三話は他の話を挟んじゃうのかな?