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『学生・高山雄治』
♦ ♦ ♦
映画がはじまってしばらくすると、おれは座席の背もたれにだらしなく寝そべるようにした。
本当は、映画を見るのでもなんでも背筋をのばしていないと気持ちが悪い方なんだが、となりに座るのが隈吉となると話は別だ。わざとだらしなくもたれて隈吉の方に体を寄せて、肩にちょっと頭をのせる。
それだけで心臓が破裂しそうにバクバク打ってくる。
しかし隈吉の方はまるでかまわない。おれのことなんか少しも気にせずでかいスクリーンに見入っている。隈吉の好みを考えて映画に誘ったのだから、こいつが夢中になるのも当然だった。派手なアクション映画。恋愛映画なんてきっと興味ないだろうし、ましてゲイが出てくるようなストーリーものなんておれがハラハラして見ていられない。もっとも、どんな映画だったとしても、隈吉がおれの気持ちに気づくなんてありえない。
隈吉はまるきりのノンケだ。
そしておれはゲイ。
だから映画を見るフリをして隈吉の肩に頭をのせたからって、それでなにかがはじまることはない。これはただの片思いだ。それはよくわかってる。
♦ ♦ ♦
政治家を父に持ち、裕福な家に育った高山雄治。将来の夢もなく、親に言われるまま弁護士を目指している。
「自分はゲイ」と自覚はあるが初恋の相手はノンケ。初めて出会ったゲイの同年代男とは親友になるが……。
恵まれた環境にありながら、なにかもやもやとしたものを胸に抱えた少年が大人の男へと成長していく姿を描いた、青春小説。
書き下ろし作品。
『弁護士 隈吉源三』http://www.amazon.co.jp/gp/product/B00A3FN2HA/ シリーズで主人公隈吉の恋人だった高山雄治の、学生時代を描くスピンオフ作品。
シリーズと関連はありますがこれ自体は読み切りなので、シリーズを読まれていない方もどうぞ。
ということで、予告していた書き下ろし小説です。
僕はシリーズものとか続き物とかそういうのいくつかやってきましたが、
その中では『隈吉源三』シリーズが一番長い。
そのシリーズ中のほとんどで
主人公隈吉の恋人役として登場していた
高山雄治が今回の主人公。
隈吉シリーズを読んでくれている方ならわかると思いますが、
ああいう事情があるということもあり、
これは学生時代の高山の物語。
隈吉シリーズ中でも、二人が高校時代の同級生であることは語られていますが、
それほど親しい友人関係でもなかった、と思っているのは隈吉だけで、
高山の方は学生時代からずっと隈吉を想っていた……、
ということを書きたかったので書きました。
でも、隈吉シリーズとのつながりはありますが、
これだけいきなり読んでもわかるように書いたつもりです。
これだけ読んでも、
青春ゲイ小説、初体験モノ、というジャンルで楽しんでいただけるかと。
よかったらどうぞ。
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