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アマゾンKindleストアにて配信開始しました。
『雰囲気のある男』
商業カメラマンの主人公。自動車の整備工場で働く辰吉と二年続いている。辰吉はとくべつ二枚目ではないが雰囲気がありモテ筋。無口な辰吉と互いのアパートを行き来する関係が心地よい。
カメラマンの主人公はちょくちょく辰吉の写真を撮る。いつも照れて笑っている辰吉だが、撮られていることに気づいていない時はどこかさびしげな表情に写る。その写真を気に入った広告代理店の男がプロにモデルにならないかと誘ってくるが……。
二年付き合って相手をよく知っていると思い込んでいた主人公が、写真の中の恋人の表情に疑問を抱く。恋人の本心というものはどこまでわかってやれるのか。
初出『バディ』。「写真」シリーズ三作目。読み切り短編。
『かわいい』
やさしくされると誰にでもついていってしまう主人公の「ぼく」。男たちに求められることがうれしいし、セックスも好き。ともだちの家に居候して、それなりに楽しく暮らしている。ただし、ぼくは頭が悪い、と悩んでいる……。
道徳的に問題のある内容なので雑誌掲載を見送られた作品。
説明に書くの忘れてましたが、
『雰囲気のある男』もオリジナルタイトルではありません。
『フレームの中の彼』だったか、そんな感じのタイトルで掲載されたはずですが……。
僕の小説をいくつも読んでいただいている方はおわかりでしょうが、
こういう「わかりあえなさ感」をテーマにした話、けっこう書いてます。
というか、自分では書いた端から忘れてきたので、
こうやってアマゾンで自分で売り出してから
こんなに書いてたんだな……とあらためて気づいたわけですが。
我ながらしつこいなあ……。
でも、『バディ』でシリーズ的に書いた短めの作品群は
原稿用紙で何枚くらいまで、
という規定があったので、
短い中にお話をまとめてあるのが自分では気に入ってます。
必ずお話が終わるというのもいい。
「これは長い連作にしたい」
「続編もいいなあ」
なんて考えて書いたお話というのは、
どうしてものちのちの伏線とか広がりを考えて、
まあ、ほったらかしの部分が出てくるわけですが、
短い読み切りにはそれがないのがいいですね。
もちろん、長いお話も書いてて楽しいんですが。
それに、「これのつづきが読みたい」とか「続編はいつ?」
みたいなことを聞かれると、
うほほっ、とうれしくなるわけですが。
『かわいい』は以前から配信済みのものです。
あらためてご紹介シリーズです。
正直、読む人を選ぶタイプのお話かと思います。
冒頭で主人公がゲイバーでナンパされてるんですが、
相手がたまたま同郷で同年代で、
「どこの高校だったの?」と聞かれて、
主人公はすごく焦ります。
主人公は高校に行っていないから。
「頭が悪い」から……。
主人公は不特定多数の男性とのセックスにまったく抵抗がない。
やさしく声をかけられると、誰にでもついていってしまう。
それでお金をもらえると素直に喜ぶ。
お金をもらえなくても楽しそうにしている。
そして手にしたお金はいつも全部ゲーセンで使い込んでしまう。
やさしくてかわいくて頭の悪い、
誰にでも股を開く男の子の話。
こう解説していても、つらい。
どうしてこんな話を思いついて、書いちゃうんだろうと自分でも思います。
道徳的に問題のある内容の小説です。
読後感は決して悪くないと自分では思ってますが、
どうなんだろう、いわゆるハッピーエンドとか
愛が勝つ、みたいな展開を期待されると厳しい。
だけど自分の中では、
自作短編の中では三本の指に入れたいくらい気に入っている。
なのであらためてオススメさせていただきます。
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