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「そんなに痛いのが好きか、この、くそっ……、」
一人つぶやきながら檀は一物をしごいていた。ソファに座って大股を開き、目の前の大型テレビを食い入るように見据えている。テレビの中では逆さ吊りにされた若い男がS役の中年男の一物を舐めようと舌をのばしている。
『本当はどうされたいんだ?』
『しょ、小便飲ませてください』
「だったら俺の小便飲ませてやる、うー、くそっ、ふっ、うう……、」
シャツをたくしあげた毛深い腹にドロドロとザーメンを垂れ流していた。檀はだらりとソファにもたれかかり、放心して天井を見上げた。ため息が出る。半勃ち程度にまでおさまってきた一物からはまだ残り汁が流れだしていた。
ずっと欲望だけはあったのだ。十代の頃から後ろ暗い願望が常に頭の片隅に潜んでいた。しかし誰にもそうした性癖を話したこともない。何人かの男と付き合いらしい付き合いをしたこともあったが、その手のことを持ちかけることも、匂わせることもできなかった。
結婚前に付き合った男たちには、話す勇気がなかった。結婚した後は妻に隠れて男と会っているというだけで、もうそれ以上望めるはずもないと諦めていた。そして離婚した後も結局何も変わらなかった。
どういう場所に行けばそういう相手と出会えるのかというところまでは調べてあった。しかしどうしても足が向かない。SMバーだとか六尺スナックだとか、あやしげなところには馴染めそうにない。だいたい自分と似たような年配の男しかいないんじゃないかと思う。変態の中年親父どもの集まるところに行って、なんになる?
「あーあ、ちくしょう……」
檀は立ち上がり、ティッシュで無造作に汚れを拭き取った。ザーメンが縮れ毛にまとわりついて湿っているが、気にせずシャツをおろしスラックスを履きなおす。ディスクをケースに戻しコレクションの棚に持っていくと、思わず苦笑した。変態の中年親父とはまさに自分のこと。これだけ集めたのだから。
「俺はアホだ」
檀はキッチンに立ちウイスキーを注いだ。ベランダに出て、北風に吹かれながらちびちびとウイスキーを舐める。冷たく凍ったアルミの柵にもたれかかり、夜の住宅街をぼんやりと眺めた。
本当に一人だなあ、と思う。
これが人生ってことか。
檀はタバコに火をつけた。
現在発売中のSM-Z冬の号にのってます。
S願望を抱えて生きてきた孤独な中年男が
ほんのちょっとの勇気で夢を叶える物語。
青年を犬のように飼う話です。
こういうパターンはたぶん初めて書いたのだと思います。
よかったらどうぞ。
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